今日もチケットがとれる確約はないが、とりあえず北駅に。昨日乗り間違えた列車の到着を観察していてわかったが、プラットフォームのRERの
行き先表示は、列車が着く直前にその列車のものへとぱたぱた変わるのだ。だから、前もって表示を確認して安心していると間違うことになる。
今日こそは空港行きを確かめて列車に乗ると、しばらくして昨日とは別の女が空席にカードを配り出した。書かれている子供の数は二人になっていたがメッセージは同じだった。
空港に着いて状況を確認すると相変わらず満席とのこと。とにかくチェックインカウンタが閉まるまで待つ。といってもなんのことはない、昨日のぼくのようなうかつな奴が登場するのを待っているに過ぎない。自分の不幸を時間差で願っているぐあいだ。
カウンタがクローズして2分後に飛び込んできた客がどうぞどうぞと通してもらうのを見てしまう。昨日1分後に断わられたワタシの立場はどうなるのだ。その後、A扱いとおぼしき客に次
々とチケットが渡され、ぼくの段になってまたも「満席」。
あきらめてチケットカウンタに行こうかと思ったが、そばでなにやら別の客
が係員と話し合っているので、そそそと寄り添って聞き耳を立てると、どうやら二人連れのうち一人にしか空席がないらしく、一人が先に乗るか、それとも二人
ともパリに残るかを相談しているらしい。とんがれとんがれと心の中で祈るワタシ。しばし日本との問答などを経たあと、あきらめ顔で「いいです」と客。このタイミング
でチケットをかざして訴えるまなざしを係員に送ったところ、空席はワタシのものとなった。ありがとう!
機内で隣り合わせた繊維関係の代理店の人と四方山話。服飾の世界には風上風下ということばがあって、まず繊維や反物のショーがあり、その
反物を使ったデザインがミラノやパリ・コレクションとなっていく。だから、じつは反物ショーという風上からすでに次のトレンドが始まっているとのこと。な
るほど。
あれこれ聞くうちに、その人はイタリアの幻燈研究家の通訳をした経験があるそうで、なんでもパドヴァの市立博物館にそのコレクションがあるのだとか。次回はパドヴァだな。その他、あれこれ楽しい海外経験の話を伺う。