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20030924


 余裕を見て悠々とRERで空港へ。
 男が向こうから空き座席にカードを置きながらやってくる。「わたしには3人の子供がいて養わなくてはなりません。よろしければあなたのお志を。よき旅でありますように。」コピー代がけっこうバカにならないだろうな、と思ったら、しっかりあとで全部回収してまわっていた。
 あのカードは何度くらい使われるのだろうかとぼんやり考えていたら、なんだかやけに人の気配が少ない。どうもB3とB5を乗り間違えて しまったらしい。しかももう終点らしく、列車はいかにも名残惜しそうにゆっくりと減速していく。窓の外を見ると、遠くを飛行機が離陸していく。この駅と飛 行場とはだだっ広い畑で隔てられている。
 しかたなくB3とB5の分岐点まで戻ると、さきほどの男が所在なさそうに電車を待っており、今度は空港行きの電車に乗り込んできてカードを配り始める。 なんだか自分が乗り間違えなかった場合の未来を見ているようで、妙な感じがする。男はどうやら、この路線を適当に行ったり来たりしているらしい。

 空港のチェックインについたのは1時間前を1分過ぎたところで、「残念ながらチェックインは閉まりました。満席です」。と、なんとも厳しいご決断。
 チェックインカウンタでは、当日の提携便に振り替えがきくと言われたが、じっさいにチケットカウンタに行ってみると、どちらの会社も相手の許可を得る ように要求してくる。あちこちたらい回しにされ、何時間も待たされたあげく、結局このチケットではもはや本日のフライトはかなわないことが判明した。

 というわけでくそったれな気分で再びRERに乗り、北駅に戻ってきた。ボンジュールパリ。なにもかもなつかしい。6時間ぶりだ。
 メトロを乗り継いでなじみの宿に駆け込んでみると「満室です」。しかしフロントの彼はすぐに近所のホテルに何軒か電話をかけて、近くの部屋を探してくれ た。人情が身に染みるなあ。人情というか、これがビジネスにおけるサービスというものだろう。的確なサービスは人をほっとさせる。

 ふたたびクレム・カラメルを食う。ああ、ほんとに倒れそうなくらいうまいな。

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