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19990814





10:02 Sttutgart発、チューリッヒへ。Texture Time
Siegenに着く前と後の二回、このヨーロッパの行程で初めてパスポートの提示を求められる。

さてスイスだ。

13:02 チューリッヒ発。ルツェルンへ。通路の向こうの席でバッグパッカーの女性が足の指にマニキュアを塗り、顔にクリームを塗り、繕いものをしている。彼女の部屋にいるように、マニキュアの匂いにまかれながら移動。

:00 さっそくツーリスト情報センターで宿探し。「シングルでセパレートでトイレシャワー共同で安いやつ」というと、60CHFのを紹介してくれた。まあ妥協点だろう。身軽ならYHでいいんだけど、パソコンだのモバイルだのいわゆる貴重品を抱えているからな。
 ツーリスト情報センターでパンフをめくっていると、「ブルバギのパノラマ:2000年2月1日まで閉館」の文字。しばし呆然とする。幾多のパノラマ本で紹介されているこのパノラマを見るためにスイスに来たというのに閉館ですと? やれやれ、下調べもなく来た自分のうかつさを笑うとするか。

 宿の受付の女性はガムを噛みながら英語を啖呵を切るようにしゃべる。その香水の匂いが受付一帯を包んでいる。「あそこの オープンエアの映画上映を見ようと思うんですけど場所はどこでしょう」「あー、壁に貼ってあるやつね、うーんと、場所がよくわかんないわねえ。それよりIMAXシアターはいいわよ、これならバスの6か8で行けるから」と地図にマジックで大きくマル。「ええ、それもいいけど、やっぱりオープンエアがいいな」「わかってるわかってる、今調べるから。えーと、新聞にものってないわね。それよりIMAXシアターはいいわよ、バスの6か8ね」それは日本にもあるんですが、というのも気がひけてとにかく外に出る。
 電話ボックスにはキーボードつきのテレサービスがあって、ここからe-mailが打てる。一通240文字までで1.5CHF(約120円)。試しに一通送ってみる。しかし、これでは受信も日本語送信もできないではないか。月曜に電話屋や電気屋があくまで、メールの問題はおあずけだな。それにしても土曜の夕方ともなると、どこの店も閉まっている。デン・ハーグについた日曜もそういえば所在なかったな。湖にでも行って泣いてみるか。というわけで駅前のマクドナルドへ。マクドはヨーロッパのいたるところにあるので、かえってお国柄がでる。いまはイタリアフェアで、ミケランジェロの彫刻風の天使がいたるところに飛び交うデザインの広告。ああ、ビッグマックが800円もする国に8日もいることにしたなんておろかなりわが心。すっかり憂鬱になる。

 夕方、ホテルの裏から続く塔と城壁のあたりを散歩。坂を上がっていくと上からチリンチリンと音がする。塔にカリヨンでもあるのかと思ったら、牛の鈴だった。いわゆるカウベルのような固い音のするやつではなくて、鐘型のベル。子牛が頭にたかる蚊を追い払おうと首をぶるぶると振る。それにあわせてちりちりちりと涼やかな音がする。いいじゃん、スイス。
 塔の扉は閉まっている。上には上がれないのかな。道は第四の塔につきあたったところで行き止まりだ。「この塔は午後7時に閉門します」か。明日また来よう。

 ホテルに戻って熱い珈琲を頼む。「コーヒー?じゃ特別にカプチーノにしてあげましょう。ほら、チョコレートも振ってあげる。イタリア風ね」  部屋に持ち帰って一口飲む。幸い砂糖はまだ入っていなかった。

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Beach diary