Texture Time: 24 August 2000
Jena -> Berlin
緑の色が心なしか薄くなり
00.8.24 18:03
それは薄いのではなく明るいのだ、と線路の錆色の明るさが教える
00.8.24 18:04
あるいはこの時刻の太陽の
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まもなく希薄になろうとする光が
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明るさの基準をずらせているのかもしれない
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薄さと明るさを交換させる時間
00.8.24 18:05
錆び、という時間の明るさ
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錆色の線路に乗って移動する
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列車
00.8.24 18:05
古い煉瓦の打ち捨てられた色や
00.8.24 18:06
あせた壁の色
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樅の色
00.8.24 18:07
この窓は横長で
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前の席の青年と共有されている
00.8.24 18:07
空は横長に切り取られ
00.8.24 18:08
長い飛行機雲が横たわる
00.8.24 18:08
鋭い線はやがてじわじわとその幅を広げる
00.8.24 18:08
向いのコンパートメントの娘が、何度も、はろーを唱えはじめる。
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コンパートメントから出て、戻ってきては
00.8.24 18:09
はろーえくすきゅーずみー
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と言う。
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薄いカーテンのようにあぜに並んだ立ち木が向こうの畑を透いて見せる
00.8.24 18:10
空が陰る
00.8.24 18:10
緑は陰鬱な色に代わりだす
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先程の飛行機雲はもう窓の端までいってしまった。
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青年のまなざしを横切るまなざし。
00.8.24 18:11
この空の幅と
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列車の速度に見合う長さの飛行機雲
00.8.24 18:12
を乗せた水平線
00.8.24 18:12
暗さを感知して駅の灯が灯る
00.8.24 18:12
緑は湿り気を帯びてテクスチャとなる
00.8.24 18:13
遠くで牛が横たわっている
00.8.24 18:13
はろー、えくすきゅーずみー
00.8.24 18:13
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