まずは宿の近くのアルカサールへ。スペイン市民戦争時の記録が残っている云々、とガイドにあったので行ってみたら、なんと一大軍事博物館だった。 そもそもここは、スペイン市民戦争時に、モスカルド大佐率いるスペイン軍の一部が女性や子供数百人も含めて立てこもった場所で、フランコ政権以降の軍隊の象徴のような場所だったのだ。 モスカルド大佐は度重なる爆撃にもかかわらず降伏せず、その英雄譚はいまなお、軍人の鑑として伝えられている。そのハイライトは、降伏しないと息子を殺すと電話で告げられた大佐が、電話口に出た息子に、自分は降伏しない、おまえは名誉のために死になさい、愛してるよと告げるくだりで、アルカサールの元大佐室では、この寸劇のテープが何度も流れる。ちなみに、フランコはこの篭城軍を救出しておおいに男をあげた。 ・・・というわけでここはスペイン軍の銃器武器展示のオンパレード。 とくにすごいのが、近代の軍服の展示。あきらかに洋品店のマネキンをそのまま借用したものに軍服が着せられている。手先つま先が妙にピンとのびておしゃれを気どっているのに、着ているのは軍服。申し訳程度にヒゲやらモミアゲを足しているのが悪酔いしそうなほど悪趣味。 とまあ、見ようによっては楽しめるのだが、こんだけマチズモな軍人原理の支配している場所にいると、なんだかうんざりしてくる。 Museo de Santa Cruz。 ゲンナリ感を払拭すべく、すぐそばのサンタ・クルーズ博物館へ。中庭のある回廊を歩くだけで気持ちいい。展示はエル・グレコをはじめ祭壇絵や彫刻など。エル・グレコの青みがかった絵は明らかに空間が歪んでいる。磔刑のキリストは、からだをよじらせて頭が小さくなっている。 カソリックだけじゃなくてムスリムの寺も見ようど、モスクを探して歩くが、二つのモスクはどちらも閉まっていた。坂を上り降りしたあげく、街の北半分をぐるりと回る。 Sinagoga de Santa Maria La Blanca。シナゴーグ。カソリック用に改修されているため、一応キリストの祭壇はあるが、内装は簡素。カソリックの教会に入り続けたあとにに入ると、まずフロアの何もなさに心ひかれる。馬蹄型のアーチの遮蔽関係が歩くたびに変り、何度もフロアを往復してしまう。 |