表は大正期の東京の風景。たまたま浅草十二階が写っていたので裏を見返すと、スタンプはなく、切手欄に「9」の文字。投函されなかった葉書? 変だなと思って、絵葉書屋の段ボール箱を注意して漁った結果、「1」から「10」まで、途中少し抜けているが、一続きが見つかった。いずれも東京名所絵葉書。
 通信欄には青いインクで本文が書いてあり、宛先欄にはかわいいイラストが描かれている。切手欄の1から10までの数字は油性のマジックで描かれている。大正期にマジックなどあったのだろうか。もしかしたら数字の方は後から入手した人間が書き加えたのかもしれない。
 「My Dear」で始まり、「Kinjiro」で終わる。下書きか。それとも、10枚セットで封書に入れて送られたものか。東京名所めぐりという旅とテキストという旅。絵葉書の表と裏は、旅の前進力だけを共有している。

19990920



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