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20010923


Wien

 初めての街なので、適当に歩き、どうしようもなくなったら交通手段を利用する、と決める。というわけで、ウィーンカードを買い、電車・バス・地下鉄を乗り放題の状態にしたところで、43番に乗ってリングの端まで。ここからリングの中を適当に歩く。

 例によって小道やアーケードがあったら入ってみる。途中、Feyungというところに豪華なパサージュ。西から入ると門を抜けてすぐにロトゥンダになる。この角地にはカフェ・セントラルが位置している。カフェのレストラン部は二階構造になっていて、さらにその上の屋根がガラス張り。フロアを歩くと階段に遮蔽されていたガラス天井が現れ明るさが変わるのが楽しい。豪勢な作りだ。

 Stephan教会の金銀のシャンデリア。細かい曲線で構成されているので、光は面や線ではなく、優雅な点となってあちこちではねかえる。だから素材が金銀でも下品にならない。
 中央柱部分からこちらに何かを問いかける人の像。

 雨が強くなる。日曜で雑貨屋は閉まっているので、濡れながら歩いているとイヤになる。ようやく市電の駅までたどりつきベルヴェデーレへ。

 クリムトはBucheuwald(1903)ですでに面の遮蔽のもたらす秘密を明らかにしている。樹皮のテクスチャが奥行きを失い、ひとつの模様=面として画面に表われる。テクスチャは、奥行きと平面(模様)の間を行き来する不安定な存在。その不安定さは、特定の環境におかれたときにはっきり平面性を表わす。
 Frantz Rieder (1908)の右下の敷布。テクスチャの寸断によって、テクスチャは模様となり、幾層もの書き割りとなる。
 模様と肉体を対比させるために、肌は、微細な赤や青をあちこちに含みながら、面であることを拒否し続ける。
 金色という面、金は光沢によって強い面となる。光沢によって、他の面とは相容れないレイヤーとなる。

 シーレの服の皺には街路が隠れている。そこから街の灯がもれている。「The wall (Hauswand)」壁は皺になろうとする衣服。皺は隘路のある壁。

 中世期の木彫の祭壇。チロルのクリスマス飾りからジオラマに到る、人形奥行き史のルーツとして。
 

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Beach diary